Delany and Bazley(Miki)モデル

Delany and Bazley

Delany and Bazleyモデルは、多孔質材料中の音響特性を流れ抵抗と材料厚さで予測できるモデルです。伝播定数や特性インピーダンスの式を見ていただくと、多項式回帰のような式の形をしているので、実験値から予測しているように思われます。

なお、本モデルでは、吸音材を剛壁につけた状態で、背後空気層なしでの予測となります。

吸音率の算出

吸音率は、比音響インピーダンスZと空気密度ρ、音速で求めることができます。

`\alpha=1-abs\frac{Z-\rho c}{Z+\rho c}^{2}`

ここで、空気密度ρ0は1.166[kg/m3](20℃)、空気の音速c0は343[m/s] (20℃) とする。

比音響インピーダンスに関わるパラメータ

比音響インピーダンスZは、以下で表されます。

\[Z=Z_{c}\coth(\gamma d)\]
  • Zc: 吸音材の特性インピーダンス
  • γ: 伝播定数
  • d: 吸音材の厚み[m]

Zc は吸音材の特性インピーダンスは、空気密度、空気の音速で表すことができます。

\[Z_{c}=\rho_{0}c_{0}\left[1+9.08X^{-0.75}+j11.9X^{-0.73}\right]\]
  • ρ0: 空気密度[kg/m3]
  • c0: 空気の音速[m/s]

γは伝播定数で、以下で表わすことができます。

\[\gamma=\frac{\omega}{c_{0}}[10.3X^{-0.59}+j(1+10.8X^{-0.70})]\]

  • ω: 角速度
  • c0: 空気の音速[m/s]

Xは、流れ抵抗で基準化された周波数です。ちなみに、0.01<f/σ<1が推奨適用範囲と言われていて、例えば、6300Hzまで予測したい場合は、流れ抵抗は6300Ns/m4以上ないと高周波バンドで予測精度が低くなってしまいますので、ご注意ください。

`\X=1000\(\frac{f}{\sigma})`

算出

まず、比音響インピーダンスZは、実部と虚部で構成されているので、それぞれ実部と虚部に分けるため、特性インピーダンスZcとcoth(γd)をそれぞれ実部と虚部に分けて、ざっくり計算します。
こうすることで、吸音率を求める際に、絶対値の計算がしやすくなります。

\[\begin{align} Z &= Z_{c}\coth(\gamma d)\\ &=\left\{Re(Z_{c})+Im(Z_{c})\right\}\left\{Re(\coth(\gamma d))+Im(\coth(\gamma d))\right\} \end{align}\]

ここで、比音響インピーダンスZを、実部と虚部に分けると以下のようになります。

\[\begin{align} Z&=Re(Z)+i*Im(Z)\\ \\ Re(Z) &=Re(Z_{c})*Re(\coth(\gamma d))+Im(Z_{c})*Im(\coth(\gamma d))\\ \\ Im(Z) &=Re(Z_{c})*Im(\coth(\gamma d))+Im(Z_{c})*Re(\coth(\gamma d))\\ \end{align}\]

ここで、coth(γd)においては、cothの表式を導く必要があります。ここでは、虚部を含むcothの導出はしませんが、気になる方はこちらを参考にしてください。

\[\begin{align*} \coth(x+i y)&=\frac{\sinh2x-i\sin2y}{\cosh2x-\cos2y}\\ &=\frac{\sinh2x}{\cosh2x-\cos2y}-\frac{i\sin2y}{\cosh2x-\cos2y} \end{align*}\]

これで、coth(γd)の実部と虚部を分けることができました。

吸音率を算出する準備が整ったので、吸音率を求めます。比音響インピーダンスZは複素数を含むため、複素数を含む絶対値の計算をする必要があります。

\[Z=Z_{c}\coth(\gamma d)\]
`abs{x+iy}=\sqrt{x^{2}+y^{2}}`

すでに、比音響インピーダンスZの実部と虚部を分けているので、上記の公式に当てはめて吸音率を求めます。

参考文献

ScienceDirect

コメント

タイトルとURLをコピーしました